みずたま日和

どうってことない出来事

ロウソクの火を消して

毎年この時期は、バイオリンだかピアノの夏期講習をやってるらしい。バイオリンケースを背負った子や、楽譜の入ったカバンをさげた子供たちが町中に溢れている。

午前中、いやむしろお昼すぎまで、土曜日にしては暇だなぁと思っていたのに、夏期講習が終わったのか、4時を過ぎたあたりからドッと団体が押し寄せる。バイオリンを習わす家庭だからか、親はなんとなくお金持ちの匂いがする。服や雰囲気ですぐ分かる。

 

小綺麗な親とその子供達をなんとかさばいて、仕事を終えたら、外は雨が降り出していた。アパートを出るときは晴れていたし、もちろん傘は持ってない。店先で雨宿りを繰り返しながら歩く。

 

今日は母の誕生日。プレゼント探しに雑貨屋をいくつか回ったけど、あんまりピンとこない。そういえば、母の日にエプロンあげたばっかりだった。

今回はケーキにしよう。思い立ってケーキ屋さんを覗く。色とりどりのカットケーキ、これもまたイマイチそそられない。

 

ケースの端にロールケーキがあるのに気づいた。すずあかね苺と生クリーム、たしか母はロールケーキが好きだったはずだ。値段も1本2000円とちょうどいい、これにしよう。

店員さんに「ロウソク何本お付けしますか?」と聞かれて、言葉に詰まった。そういえば母は今年で何歳になるんだろう?とりあえず1袋6本もらっておいた。

 

実家に持って帰り、年を聞くと、自分でもあんまり分かってないらしく、「今年で53歳だと思ってたけど違った、51歳になったとこだった」と笑っていた。

ロールケーキにロウソク6本刺して火をつけた。6本って51歳と何にも関係ない数字だねって笑った。使ってないライターがあまりにも硬すぎて、ガスコンロから火をもらった。

 

吹き消してもらって、切り分けて食べた。スポンジがしっとりふわふわで、苺もゴロゴロ入ってて、生クリームもくどくなくて、おいしかった。まずいところがなかった。全部おいしい。

そのまま実家で眠りこけてしまった。明日休みだからいいか。

f:id:MZTM5:20170805094814j:image

今日も見慣れた景色

やたらと涼しい朝だった。寝てる間に夏が終わったのかと思った。

アパートから会社まで歩いてるうちに、それが思い違いだと知る。汗、そして汗。べつに陽が出てるわけでもないのに。

 

店が忙しい。忙しさに比例して、余裕がなくなる。

いつもはどんなにやんちゃな子供にも笑いかけられるのに、今日はダメダメ。子供が騒げば騒ぐほど、『親何してんだよ叱れよぶっ殺すぞ』って思いながら働いてた。ごめんね。

 

今日は、仕事が終わったらコーヒー飲みながら日記を書いて、日記を書き終えたら本を読もうと決めていた。

いつもならスタバだけど敢えてタリーズへ。空いている。ソファ席の端っこを陣取ることができた。

 

レジで普通にアメリカンを頼めば良かったものを、なぜかパスタセットにしていた。夏野菜のなんたらかんたら。

頼んでから気付いた。夏野菜べつに好きじゃない。嫌いなトマトは入ってなかったからまだ良かったけど、ズッキーニとパプリカの入ったパスタを目の前にしてやっと我に帰った。なんで頼んだんだろう。

 

頼んでおいて残すのもアホくさいし、思い切って食べてみた。素材の味が全くしなくてわたしでも食べられる!と思ったけど、料理として褒め言葉ではないような気がする。

日記は7月29日から真っ白。8時閉店の時点でまだ31日までしか埋められていない。

 

結局スタバで残りの3日分を書くことにした。 

日記を書き終えて、昨日買った本を開ける。かなり読みやすい。本気を出せば今日中に読み終えそうなくらいだった。

でも、それじゃもったいない。自分で自分にブレーキをかけて、3章まで読んだところで栞を挟む。続きはまたの楽しみに取っておく。

 

帰り道、自分の足音が聞こえるか聞こえないかくらいの音量で音楽を聴きながら歩いた。夜風が涼しく心地よい。

玄関を開けると、昼間の暑さをギュッと凝縮したような空気がわたしの帰りを待っていた。さっきまでの心地よさはどこへ。冷房が効くまでの時間が永遠に感じた。

f:id:MZTM5:20170804071239j:image

赤や緑の菊の花びら

 f:id:MZTM5:20170803081334j:image

朝、アパート帰ってきて洗濯。

こないだ彼氏に借りた青いTシャツと、お気に入りの赤いトップスを隣同士干したら、なんか綺麗。

 

半分干し終わって、ハンガーを物干し竿に掛けたところで、右手の小指に激痛。何かと思ってみると、赤い小さな刺し傷があって、虫が飛び去っていくのが見えた。刺し逃げ…。

小指はみるみるうちに腫れ上がって、あっという間に2倍に。写真を撮ってみたら、無意識に白い壁バックにしてた。何でもかんでも白い壁と一緒に撮るの癖になってる。

 

ちょっと怖くなってツイートしたら、「温めてから冷やすといいよ」と教えてもらえた。その通りにしたら、一時曲がらないくらい腫れてたのが、ちゃんと曲がるようになるまで腫れが引いた。

赤い小さな刺し傷も、いつの間にか赤くなくなっていて、もはや何事もなかったかのようだった。

 

洗濯干し終わったらお出かけしようと思っていたのに、そんなこんなで労力を使って家出る気が失せてしまった。結局外に出たのは6時すぎ。

 

友達が本を出した。冷やかし程度に買いに行く。アニメイトならあるというので、行ってみた。

こないだ妄想テレパシーの4巻を探しに行ったのが初めてで、今回でアニメイト2回目。慣れない。そわそわした。

 

本は新刊のコーナーですぐ見つかった。冷やかし程度にと思っていたのに、いざ見つけると思っていたより嬉しくて、我ながらちょっとびっくりした。そのコーナーの前にいる知らん男の人に、ちょっと自慢したかった。これわたしの友達なんです!って。

店員さんが、ザ!オタク!みたいな人だったのもちょっと面白かった。

 

夜ご飯は、仕事終わりの彼氏と回転寿司へ。一番奥の厨房に近い席に案内された。

食べ終わって、いざ会計って時に、厨房に戻っていく方のレーンで寿司がなにかに引っかかって、寿司大渋滞。流れていかないのに後ろから寿司がんがん回ってくるし、どうしようもなくて、バイトの子を呼んだ。でもその子も軽くパニックになっててわらった。右往左往してた。面白かった。

今日の空はすごく好き

朝。シャワー浴びてさっぱり。こないだ母から譲り受けた青いワンピースを着る。

今日は彼氏と付き合い始めて1年記念日。優しい彼ならワンピースのこともきっと褒めてくれるだろう。

  

普通に出勤してみんなに「おはようございます」したあと、「昨日の飲み会お疲れ様でした」って挨拶するのが飲み会の翌朝の恒例。

でも、面倒で省略したら「おはようございます!お疲れ様でした〜!」って出勤即退勤する人みたいになった。

 

仕事終わってから彼氏と合流。ふと見上げると、空がすごくピンク色だった。

2人とも大好きな焼き鳥屋さんへ。最近お互い意識して敢えて行かないようにしてたのは、記念日に行くって決めていたから。

梅酒とノンアルコールビールを頼んで、小声でおめでとうって乾杯。

 

最初のデートも同じ焼き鳥屋さんだった。

その時は現地集合で、カウンターの端に座って待ってる彼の隣に遅れて座った。足が触れただけで戸惑ったり、緊張しすぎて手が震えたりしたっけ。懐かしい。

 

とりあえず昨日の飲み会の話をする。

いつもボディタッチの激しい40代半ばの独身男性社員に、昨日いよいよほっぺチューされたって言ったら、「なんだそのくそじじい」って言ってて笑った。嫉妬とかしないタイプなのに。嫉妬じゃないにしろ、人の悪口とか言わない彼が珍しく口汚くて面白い。

 

付き合い始めの頃。わたしが今まで彼氏ができても最長1年半までしか続いたことがないと話したら、「じゃあ俺たちも1年半契約ってことにしよう」と言われた。

正直、なんで最初にそんなこと言うんだろう?と思ったけど、「1年半経ったところで契約更新するかどうか決めよう」ということらしい。

 

直接言えなかったから、翌朝彼が仕事に行ってから「1年ありがとう、これからもよろしく。行けるとこまで行きましょう!」とラインをした。

どこまで行けるかわからないけど、愛想尽かされるまでは一緒にいて欲しいなと思った。

f:id:MZTM5:20170802175941j:image

熱いシャワー浴びてたい

f:id:MZTM5:20170801091211j:image

朝、コンタクトをするとき、コンタクトの保護液?が服に飛んだ。お気に入りの服だったけど、家を出るまでに乾きそうにない。急いで着替える。

今夜は会社の飲み会。久しぶりに会う人がたくさんいるから好きな服で行きたかったのに。あーあ。

 

今日は31日。棚卸しあるって言ってんのに、なぜかポンコツ先輩は資材を補充したり、発注したり…数えんの多くなるやんけ。考えたらわかるやんけ。イーーーッとなる。

でも、パートのおばちゃんが言うには、その先輩あまりにもポンコツすぎて、入社5年目なのに入社4年目のわたしより給料少ないらしい。

 

古い会社だから完全に年功序列だと思ってた。びっくり。ちゃんと仕事量に見合う給料くれてるって知って嬉しいやら、わたしたちの知らないところできっちり査定されてるんだと知って恐ろしいやら。

パートのおばちゃんはそれを知って、「あまりにもかわいそうで、これからは優しく対応できそう」と言ってたけど、わたしからしたらそんなん自分のせいじゃん?って話。

 

仕事が終わって、会場へ。お庭の緑が綺麗で、写真を撮った。後輩たくさんいるのに、準備や手伝いを率先してやる癖が抜けない。疲れる。


人の集まりが悪くて、結局乾杯の合図もなしに気付いたらぼんやりと始まっていた。

6時半頃スタートで、片付けて帰る頃には10時半。長い。しんどかった。先輩が車で家まで乗せてくれると言ったけど、1人で帰りたくて断った。

 

帰り道、信じられないくらい身体中べったべたで、帰ったら即シャワー浴びようと、そればっかり考えて歩いてた。

 

なのにいざ家に着くと、疲れすぎてなんにもやる気が出ない。シャワーも、着替える気にもならない。

やっとの思いでコンタクトを外して、ギリギリ化粧も落とした。あとは全部明日の朝のわたしに託して寝た。

君の青い車で海へ行こう

父が帰ってきた。時計は朝の4時半。多分事務所でうたた寝してこんな時間になったのだろう、相当お疲れのご様子。

マッサージチェアで携帯いじってたら、ソファで寝なよと声をかけてくれたのはありがたいけど、5分後そのソファで寝てるのは他の誰でもない父。

 

外が白く明るくなりだして、浅い眠りに入る。「ねぇ、ねぇ、ねぇ…」と延々誰かに話しかけられる夢を見た。

目を覚ますと、ソファで寝てる父のいびきが「ぐぅ、ぐぅ、ぐぅ…」。夢で聞いた呼びかけと全く同じリズムで笑う。

 

8時過ぎ、会社に早番の人がそろそろ来る時間。会社に鍵を取りに行かなきゃいけないのに、昨日と同じ服。そんなつもりで来てないからもちろん着替えもない。どうしよう。

そこでふと目に入るハンガーにかかった青い麻のワンピース。似合わないだろうからいいやと思ってた母のお下がりを、試しに着てみる。

 

着てみて初めてわかったけど、意外と可愛い。むしろ似合っているような気までしてくる。起きてきた母が満足そうに「似合うじゃん」と言った。

 

会社に鍵を取りに寄ってアパートまで歩いて帰るその間に、すっかりこのワンピースが好きになっていた。綺麗な青で、ポッケもちゃんとふたつあって、麻で涼しい。気にしてた二の腕も思っていたほどは目立たない。

 

もっと大切な日にちゃんと着たいなと思って、アパートに着いてすぐワンピースを脱いだ。

ハンガーにかけて少し眺めていたら、小さな汚れがひとつふたつあるのを見つけたけど、着てみる前より断然愛着が湧いていてあまり気にならなかった。

 

夏のことは大嫌いだけど、こうやって夏にしか着れない好きな服が増えたら、ちょっとは夏のこと好きになれるかな。

f:id:MZTM5:20170731012030j:image

始まらないはじまりのうた

f:id:MZTM5:20170730092524j:image

朝の寝ぼけ眼のまま、なんとなくネットで買い物。

ボーナス入ったし、1000円クーポンでてるし…と、別に悪いことしてるわけじゃないのに、なぜか言い訳たくさん考えて、自分で自分を納得させてからポチるのが癖。

届くのは少し先、8月1日。そういえば彼氏と付き合いだして丸1年になるその日だ。

 

「こないだ欲しいって言ってたお財布買おうかと思ったけど品切れしてた」と唐突に言われて、一瞬何のことかさっぱり分からなかった。1年記念のお祝いにってことだった。

「ペアリングも考えたんだけどどうする?」と聞かれて、「多分わたしすごい浮かれるからいいよ」と返すわたしの彼女力の無さ。

せっかく買い物したのに、何にも考えてなかったから自分のものしか買ってないや。気づくの遅すぎた。まぁどうにかなる。

 

仕事は早番で、実家でご飯食べてからポケモンやりに小雨の中歩く。

嘘みたいに細い小道を通って、雑草がボーボー生えた公園に着いた。公園といっても、パンダと犬かなにかの跨って揺れる遊具(あれなんて名前?)しかないようなほとんど空き地。

最初は全然人いなかったけど、後から後から人がたくさん来て、念願のルギアを捕まえられた。あとから来たおっさんが仕切り出してウザかったけど、感謝。

 

実家に荷物を置いてたので取りに帰る。雨は止んでいた。

母に、着ないワンピースがあるから持って帰らないかと言われて、そのワンピースを見せてもらった。

 

青い麻のワンピース。ふくらはぎが半分隠れる長めの丈、ストンとしたシンプルな形。飾りといえば胸元に生地が寄せてあるくらい。

なぜもう着ないのか聞いたら、袖が短くて二の腕がもうねーと笑っていた。それはわたしも人のこと言えないなぁと思いながら、とりあえず保留。なんだかわたしに似合う気がしなかった。

 

23時過ぎ。眠たくなって、30分のタイマーをかけてソファに横になる。ふと目が覚めたら2時だった。タイマーの意味。

 

帰らなきゃとカバンを背負って靴を履いて玄関で気付く。鍵を会社に置いてきた。

帰るのを諦めてリビングに戻る。眠気がどっか吹っ飛んでしまって、もう眠れない。