叶えるため生まれてきたの
今日は、中学の時の親友の誕生日。
友達の誕生日を覚えるのが苦手なわたしに、「8月28日、ハニワの日だよ!」と教えてくれて以来、この歳になってもずっと忘れないで覚えている。
仕事が終わって会社を出ると、空がものすごくピンク色だった。仕事で落ち込んでいたことも、どっかに飛んでくようなピンク色。
このピンクはすぐ暗くなって消えてしまうとわたしは知っている。走って実家へ。実家の前から見る夕焼けがわたしは大好きだった。
階段を駆け上がっているその数分のうちにピンクの分量がかなり減ってしまっていた。悲しい。
そのまま実家に寄ったものの、誰もいない。夜ご飯恵んでもらおうと思ったのに。
帰り道、浴衣を着たカップルがわたしを追い抜いていった。どっかで花火大会かな?なんて思ったけど、よくよく見たら最初に書いた今日が誕生日のあの親友だった。
彼氏と手を繋いで歩いている。誕生日デートだろうか。声をかけるにはもう少し確信を持ちたくて、少し後を追いパルコに入る。あの笑い方、絶対そうだ。懐かしい。
すれ違う瞬間で声をかけようと、まわり込む。距離が近づいて、小さく息を吸い込んだその時、彼女は手に持っていたうちわで顔を隠した。
まるで、もうわたしに気付いていて、声をかけられないようにした。そんな動きだった。考えすぎだよと思われても仕方ないけど、でも絶対に意図的だった。
吸い込んだ息が、ため息となって口から出ていった。そのままクルッと背を向けて、反対方向へ歩き出す。
傷ついてしまった。そんな些細なことで傷つく自分に、自分でびっくりした。家に着いたら久しぶりに連絡でもしようと思っていたのに。誕生日だって忘れてないのに。なんて、こんなこと考えても言わないと伝わらないのは分かっている。
悲しくて、家まで歩く間、ふたつだけ涙が出た。家に着いても連絡するのはよそう。所詮その程度の仲なんだ。
片思いな気分で帰宅。9時前にロフトにあがってベッド、そのまま今日は終わり。