幼き日々に戻らなくていい
母親の声で起きる朝の6時。顔を洗ってるうちに、弟と妹も起きてきた。洗面所が混む。
口では「みんな早く起きろ!」と言っていた父親が、結局一番起き上がるのが遅かった。
6時半には出発。弟が8時半までに学校に行くため、こんな変な時間のお墓参り。
おじいちゃんはわたしが中1のときに亡くなった。中学入学してすぐだった。お通夜でたくさん泣いたことも、お葬式で作文を読んだことも、よく覚えてる。
もともとわたしはおじいちゃん子。
両親の仕事の関係で、学校が終わったら軽トラでおじいちゃんが迎えに来て、そのままおじいちゃんちに泊まり、翌朝学校まで送ってもらう繰り返し。
「やだ!おじいちゃんち行きたくない!ママといたい!」と駄々をこねて、泣きながら両親の店の厨房に隠れたこともあった。
そんな様子を見ていたからか、おじいちゃんはわたしにとっても甘かった。怒られた記憶がないし、いつも途中のコンビニでお菓子をひとつ買ってくれた。そのせいで虫歯もたくさんできたけど。
お墓の掃除を済ませて、お線香をあげ手をあわせる。
おじいちゃん、わたしは今年で24歳になるよ。これからも見守っていてね。と心の中で声をかける。
帰り道、コスモスが咲いていた。おじいちゃんにおんぶされて見る家の前のコスモスが好きだったことを思い出した。
秋がすぐそこまで来ている。