みずたま日和

どうってことない出来事

ずぶ濡れになった洗濯物

怖い夢を見て目が覚める。深夜2時半、隣で彼氏が寝息を立てている。

もう一度眠りにつこうと目を閉じて、彼氏の寝息に合わせて呼吸してみるけど、タイミングが合わずうまく眠れない。

 

彼氏がわたしの家に棲みつき始めて何ヶ月になるだろう。この共同生活を未だに「同棲」と呼べないことを、わたしはずっと小さく気にしながら毎日過ごしている。

わたしのアパートの家賃は4万円。2人で割れば2万円。決して高くはないそれを一度も払わない彼氏は「水道光熱費は俺がいることで2倍になってると思うから、その分は払う」と言った。毎晩この家でご飯を食べ、同じベッドで眠り、毎朝この家で目が覚めることを「住んでいる」とは言わないらしい。

 

クローゼットは九割がわたしの服で、隅のほうに彼氏の服が数着だけ、肩身が狭そうに掛けられている。冷蔵庫は一人暮らし用のまま、わたしの飲まない缶ビールが場所を取る。シングルベッドは二人で眠るのには狭く、壁際で眠るわたしはいつも肩が壁に触れている。

これが「同棲」だったら。ベッドはシングルからダブルに買い替えられて、冷蔵庫ももっと大きいものに出来るのに。クローゼットは、仕方ないけど断捨離でもしてわたしのものを減らす。そうすれば彼の服も増やせるだろう。

 

彼氏が出来たと打ち明けたわたしに母親が言ったことを思い出す。「あんたがきっちりしないと、ぐだぐだになりかねないよ…甘やかさないようにね」

きっちりってなんだ。家賃を毎月徴収すれば、ぐだぐだにはならずに済むのか。もうよく分からない。まだ眠れそうにない。